2020年3月
平尾山荘
平尾を愛した女流歌人・勤王家 野村望東尼
西鉄平尾駅より徒歩15分ほど南へ行くと閑静な住宅街の一角に、見頃を迎えた梅の名所があります。福岡市出身で平尾を愛した幕末の女流歌人・勤王家、野村望東尼(のむらぼうとうに)が暮らした「平尾山荘」です。幕末動乱の時代、国を憂うる志士たちより母のごとく慕われ、彼らを平尾山荘にかくまい支援した、歌人 野村望東尼。
元治元年(1864)長州から逃れてきた高杉晋作を温かく迎え、10日間ばかりではありましたが、彼は革命家としての命を蘇らせます。高杉が長州に戻るに際し、心尽くしの手製の旅衣を贈りました。慶応二年(1866)九月、福岡藩の勤王派弾圧で姫島(糸島市)に流されていた望東尼は、高杉の手配により島から救出されます。病に冒された高杉と下関で再会し、熱心にその看病に努めるも、翌年4月、高杉は他界。望東尼も同年11月、防府の三田尻にて亡くなりました。
いかなる逆境にも屈することなく、最期までひと筋の道を貫いた人生であった。
2020年3月